昔、東京の大田区に住んでいたことがあります。
時期としてはちょうどコロナ禍のあたりで、羽田空港のすぐ近く、京急線よりもさらに東京湾に近いエリアでした。東京に住んでいるはずなのに、不思議と都会の混み混みした雰囲気からは遠く離れていて、なんだか別の街に紛れ込んだような、不思議で穏やかな時間が流れていたのを覚えています。
これから東京で賃貸を探している人や、少し落ち着いた場所に住みたい人の参考になればいいなと思い、当時の暮らしを振り返ってみようと思います。ただ、ちょっと古い情報にはなるので、もし検討される場合は、最後は自分の目で今の街を見て確かめてみてくださいね。
東京なのに「東京っぽくない」水辺の自然
このエリアに住んでいて一番好きだったのが、とにかく水辺が近くて自然が豊かなところでした。
少し自転車を走らせると、人工の砂浜が広がる「大森ふるさとの浜辺公園」という素敵な公園があるんです。
白い砂浜がすーっと広がっていて、遊泳は禁止ですが、波打ち際に足を浸して磯遊びをしたり、ぼーっと海を眺めたりできます。東京で生活していると、ふと「一人になって静かに過ごせる場所」が欲しくなることがありますが、ここはまさにそんな場所にぴったりでした。
休日はよく、自転車で多摩川沿いの土手を風を感じながらのんびり走っていました。そのまま橋を渡って川崎の方まで遠出してみたり、人工島をぐるっと回ってみたりするだけでも、すごく楽しかったです。東京の端っこだからこそ味わえる、あの広々とした空と水の匂いは、今でも懐かしく思い出されます。
また、夜の多摩川沿いから見る景色も印象的でした。川の向こう岸に見える川崎のマンション群のあかりを眺めながら、「あっち(川崎方面)はやっぱり栄えているんだなあ」としみじみ思った記憶があります。ひるがえって、自分の住んでいる大田区側には高い建物やあかりがあまりないな、という対比を感じたのも面白い体験でした。

大森の古着と、蒲田の安くて美味しい餃子
生活のしやすさという点では、「大森」と「蒲田」という個性豊かな2つの街がすぐ近くにあるのが最強でした。
大森の駅前に行けば大きなドン・キホーテがあって買い物には困りませんし、何より山王商店街のほうへ歩くと「ユーズレット大森店」があったり、西口には「BINGO 大森駅西口店」といった古着屋さんがあったりして、古着好きの自分にとっては最高の散策ルートでした。休日に掘り出し物のTシャツをのんびり探す時間は、とても楽しかった記憶があります。
昔から古着屋をめぐるのが趣味で、東京の面白い古着スポットについては、こちらの「仙台と東京で巡る、お気に入りの古着屋」の記事でも少し紹介しています。
そして、お腹が空いたら蒲田へ向かいます。蒲田はまたガラッと雰囲気が変わって、とにかく飲食店が安くてディープです。立ち飲み屋さんや、いわゆる「せんべろ」ができるお店がたくさん並んでいます。
特に有名なのが「羽根付き餃子」ですよね。「你好(ニイハオ)」や「歓迎(ホァンヨン)」、「金春(コンパル)」といった本場の方がやっている有名店が何軒もあって、パリパリの大きな羽根がついたジューシーな餃子が、驚くほど安く食べられます。ビールを片手に熱々の餃子をつつく時間は、大田区暮らしの大きなご褒美でした。
意外と快適だったモノレール通勤
当時は浜松町まで通勤していたのですが、あえて東京モノレールを使って通勤していました。これが意外と、毎日のちょっとした楽しみだったんです。
車窓からきらきら光る運河や、静かに佇む人工島、飾らない工業地帯、そして遠くに見える羽田空港の飛行機を眺めながら揺られる時間は、満員電車に揉まれるのとは全く違う、非日常的なワクワク感がありました。
特に、モノレール昭和島駅に向かう途中の見晴らしは本当に素晴らしく、開けた青空と穏やかな運河が目の前に広がります。まるで東京の中心にいることを忘れてしまうような開放的な景色は、日々の通勤のちょっとしたオアシスでした。

アクセスも実はそんなに悪くなくて、モノレールで浜松町に出て京浜東北線や山手線に乗り換えるのは当然ですし、京急線に乗れば品川や川崎、横浜にもすぐに出られます。
裏ワザ(?)として、モノレールで天王洲アイルまで行ってからりんかい線に乗り換えると、混雑をきれいに避けたまま、すんなりと新宿方面まで行くことができました。西側のエリアに行くとなると乗り換えが少し面倒ではありますが、主要な街へ行く分には、不便さを感じることはほとんどありませんでした。
住んでみて気になったいくつかのポイント
もちろん、実際に住んでみて「ここはちょっと注意が必要だな」と感じる部分もいくつかありました。
1つ目は、夜の駅前のディープさです。特に蒲田駅周辺がそうなのですが、夜遅くに歩くと客引き(キャッチ)の人がかなり多いです。中国系のマッサージの勧誘や、消費者金融の看板が目立つエリアもあるので、お世辞にも「ハイカラでオシャレな街」とは言えません。ただ、強引にししつこく絡まれるわけではないので、スッと自然にかわして歩けば実害はありませんでした。
2つ目は、路地の暗さです。大田区の住宅街は、空が広くて電柱が少ない場所が多いのですが、そのせいか夜になると路地がかなり暗い印象がありました。深夜になると歩いている人も少なくなってくるため、特に女性の方だと、夜遅くに歩く際は少し不安や怖さを感じるかもしれません。何か事件があったわけではないですが、物件を探すときは夜の道の明るさも見ておいた方がいいです。
3つ目は、交通手段の偏りです。主要な駅へのアクセスはいいのですが、バスがあまり細い路地までカバーしていない印象がありました。そのため、このエリアでストレスなく暮らすには、最低でも自転車、できればバイクなどの移動手段があったほうが、格段に生活が便利になると思います。
また、平和島競艇などのギャンブルスポットが多いことを気にする人もいるかもしれませんが、普通に生活していて自分から近づかなければ、治安面などでの悪影響を感じることは全くありませんでした。
結局、大田区はまた住みたい街
いろいろと気になるところも挙げましたが、トータルで考えると、自分にとってはすごく肌に合っていて住みやすい街でした。もし次に東京で一人暮らしをするなら、また大田区を候補の筆頭にすると思います。
東京という大都会にいながら、人の混み混みした混雑から離れて、海や川などの水辺の自然で一人になれる場所が欲しい人には、大田区の羽田空港側は心からおすすめできるエリアです。
大好きな街。