前回のAI音声入力のサブスクを見直す話で、円安の影響で月額10ドル(約1,500〜1,600円)のAqua Voiceが重くなってきたため、サブスクを見直して別のツールへ乗り換えるというお話をしました。 あれからAqua Voiceの期限が切れ、予定通りにソースネクストの「いきなりAI 音声タイピング」を導入して使い始めています。 実際に自分のパソコンにインストールして、毎日ブログのドラフト作成やちょっとしたメモ書きに使ってみているのですが、結論から言うと、早くも「次の乗り換え先」を悩み始めることになってしまいました。 音声入力の道具選びというのは、なかなか一筋縄ではいかないものです。
安さは正義だけど使いにくい
まず、このソフトの最大の魅力は、なんと言ってもその圧倒的な安さです。 月額495円(税込)というワンコイン以下の価格は、これまでのAqua Voiceと比べても3分の1程度で済みます。家計の固定費を削るという目的においては、これ以上の選択肢はありません。 しかし、実際にインストールして使い始めるところから、少しだけ不穏な空気が漂っていました。 日本の老舗メーカーであるソースネクストの製品ということで安心していたのですが、アプリケーションのインストール手順がちょっと分かりにくく、設定を完了させるまでに少し右往左往してしまいました。 まあ、一度設定してしまえば動くので、インストールの不親切さ自体は許容範囲の中に入ります。 本当に問題なのは、インストールした後の、実際の入力時におけるアプリケーションの使い勝手でした。どれだけ安くても、毎日使う道具としての操作感がしっくりこないと、どうしてもストレスがじわじわと溜まっていってしまいます。
話すのを諦めたくなるふたつのモード
このアプリには、大きく分けて「短文モード」と「長文モード」の2つの入力方法が用意されています。 短文モードは、特定のキー(またはマウスボタン)を押している間だけ音声を録音して、キーを離した瞬間にAIがテキスト化してくれるモードです。 このモードで、ちょっと長めに頭の中のアイデアをバーッと喋って、キーを離してみるのですが、どういうわけかうまく反応してくれないことが多々あります。 せっかくたくさん喋ったのに、最終的にAIが何も出力してくれず、画面がシーンとしたまま終わってしまったときの虚しさはなかなかのものです。 以前使っていたAqua Voiceでは、ボタンを押している状態でどれだけ長く喋り続けても、ボタンを離せば絶対に最後はAIが綺麗に出力してくれたので、この「打率の低さ」はかなりのストレスになります。
それなら、ずっと録音状態が続いて喋り続けられる「長文モード」にすればいいじゃないかと思い、そちらも試してみました。 しかし、今度は別の問題が発生します。 私が喋っている途中で、次に何を話すか少し迷って「言いよどんだ瞬間」に、アプリ側が「ここで文章が終わりだ」と勝手に判断して、短い文章のままテキスト出力してしまうのです。 これの何が困るかというと、話す内容をあらかじめ完璧に整理して、澱みなくスラスラと喋り続けないと、意図しない場所でブツブツと細切れになった不自然な文章が生成されてしまう点です。 話しながら考える、という私のダラダラとした音声入力スタイルには、この仕様はあまりにも厳しすぎました。
滑舌と頭の整理が試される
AIとしての基本的な音声認識の精度自体は、決して悪くはありません。 話す途中でつい口走ってしまう「まあ」とか「えーと」といった不要なつなぎ言葉(フィラー)は、しっかりとAIが検知して綺麗にカットしてくれます。 つなぎの処理に関しては十分に優秀なのですが、やはりアプリケーション側の融通の利かなさが、全体の使い勝手の良さを大きく損ねている気がしてなりません。 例えば、実際にこんな入力のテストをしてみました。頭に浮かんだことをそのままマイクに向かって声に出してみます。
今日の天気は晴れです。と思ったら実は雨だったりもするよね 今日の天気は晴れです。と思ったらじ。実は雨だったりもするよね。 なぜか途中で「じ。」という謎の点と一文字が挟まってしまっていて、今回は少し認識の精度が悪かったようです。 もちろん、これは私自身の滑舌の問題もあるのだと思います。もっとハキハキと、アナウンサーのように綺麗に発声してあげれば,AIも迷わずに正しく認識してくれるはずです。 しかし、私自身はあまり喋るのが得意な方ではありません。 だからこそ、もっとAI側が私の曖昧な発話をサポートしてくれたり、アプリケーションがこちらの言いよどみを大らかに許容してくれたりするような、懐の深いツールであってほしいと思ってしまいます。
結局のところ、話すのが得意で、事前に頭の中で綺麗に話の構成を組み立てられる人であれば、この「いきなりAI 音声タイピング」でも価格以上の働きをしてくれると思います。 でも、私のように喋りながら考えをまとめるタイプにとっては、価格の安さを差し引いても、以前のAqua Voiceの方が圧倒的に使い勝手が良かったと感じています。 今回は価格を優先して乗り換えてみましたが、次はWhisper(ウィスパー)などをローカルで動かす方法なども試してみて、自分に一番合う音声入力環境をもう少し探してみたいと思います。
製品の詳細については、いきなりAI 音声タイピング公式サイトで確認できます。
やっぱり道具は相性