テニスをしていて、ふと「自分の姿勢ってどうなっているんだろう」と気になったことがあります。
普段から腰を落として、できるだけ低い姿勢を作っているつもりでした。重心を低く保ったほうが安定するというのはテニスの基本ですし、自分なりにはしっかり意識してコートに立っていたつもりだったのです。
ところが先日、たまたま自分のプレーをスマートフォンで動画撮影してもらう機会がありました。
画面の中に映っていた見事な棒立ち
帰宅してわくわくしながら動画を再生してみたのですが、そこに映っていた自分の姿を見て、思わず言葉を失ってしまいました。
まったく膝が曲がっておらず、ほぼ棒立ちの状態で立っていたのです。
自分の脳内では、プロ選手のようにどっしりと構えてフットワークを刻んでいるつもりでした。それなのに、画面の中の自分はまるで立ったまま散歩でもしているかのような高さ。自分では腰を落としている気になっていても、客観的に見ると重心が驚くほど高い位置に残ったままだったわけです。
思い返してみると、心当たりはたくさんありました。
緩いラリーや力を抜いて合わせるだけのボレーなら、棒立ちでもなんとなく返せてしまいます。しかし、相手から重い球や速い球が飛んできたとき、どうにも力負けしてボレーが浅くなったり、ラケットのスイートスポットを外して弾かれたりすることがよくありました。
おまけに、重心が高いせいでボールに対する1歩目の動き出しがワンテンポ遅れるという課題も抱えていました。以前に履き替えたアシックスのゲルチャレンジャー15 OCのおかげで足元のグリップ自体はしっかり効いているはずなのに、身体の土台が高すぎて、せっかくのフットワークがまるで活かせていなかったのです。
「これは姿勢そのものを根本から変えないとまずいな」と痛感しました。
太ももに体重を乗せてプレーしてみた変化
動画を見た数日後、ちょうどテニスをする機会があったので、徹底的に「重心を低くする」ことだけを意識してコートに入ってみました。
具体的には、構える段階から膝と股関節をしっかり折り曲げ、両足の太ももに体重が乗っている感覚を常にキープし続けるようにしたのです。
プロや上級者のプレーを思い浮かべてみても、強い選手は例外なくどっしりと腰を落とし、低い姿勢から鋭くボールに入っていきます。いわゆる「パワーポジション」と呼ばれる姿勢ですが、それを自分でも愚直にやり続けてみることにしました。
そうして太ももに意識を集中させてプレーしてみたところ、驚くほどはっきりとした良い変化が現れました。
| プレーの項目 | 重心が高いとき(以前) | 重心を低くしたとき(今回) |
|---|---|---|
| ボレーの深さ | 当てるだけで浅くなり、相手に叩かれがち | 身体の重みで押し出せて、深く突き刺さる |
| アングルボレー | 手先で勢いを吸収しようとしてミスが出る | 足を使ってボールを運び、狙った角へ落とせる |
| 前衛のポーチ | 相手が打ってから動くため一歩目が遅れる | 地面を強く蹴って、素早くコースへ飛び込める |
一番違いを実感したのはボレーの安定感と威力でした。
相手の速いボールに対しても身体の軸がブレなくなり、ラケットの真ん中でしっかり捉えられるようになりました。以前のように手先だけでボールの威力を吸収するのではなく、下半身を使ってボールを前へグッと運べる感覚が生まれたおかげで、ボレーが自然と深く伸びていきます。
さらに嬉しかったのがアングルボレーの正確性です。角度をつけるボレーも手首をこねずに足で運べるようになり、ネットにかかる不安が激減しました。
また、ダブルスの前衛に入ったときのポーチでも、ボールが相手のラケットを離れた瞬間の1歩目の反応速度が格段に速くなりました。重心を低く落として地面をしっかり捉えている分、横への蹴り出しがスムーズになり、今まで見送っていたようなボールにも手が届くようになったのです。
下半身の土台やフットワークの重要性については、テニスクラシックの技術解説記事でも詳しく解説されていますが、まさに「足腰を使ってボールを運ぶ」という感覚が少しだけ掴めた気がしました。
1セットで足が震える尋常じゃない疲労感
ネットプレーやフットワークには素晴らしい効果があった一方で、この「重心を低く保つプレー」をやってみて痛感した最大の代償は、とにかく尋常じゃなくきついということでした。
もちろん、ストロークや相手のサーブに対するリターンなど、低い姿勢を保ったままどう振り抜くかという技術的な課題も残っています。しかしそれ以上に、下半身への負荷が凄まじかったのです。
自分は日頃からスクワットを日課にしていて、太ももや下半身の筋力にはそれなりに自信があったつもりでした。それでも、1セット終わる頃には前太ももがパンパンに張ってしまい、立っているだけでプルプルと震えてくるほどでした。
これをご高齢の方や女性、あるいは普段あまり筋力トレーニングをしていない方がいきなり真似して、1試合ずっとキープしようとするのは正直かなり無理があると思います。膝や腰を痛めてしまっては元も子もありません。
最初から全ポイントで低くなり続けるのではなく、「ゲームの要所」や「ここぞという大事なポイント」に絞って重心をグッと落とすなど、自分の体力に合わせて無理のない範囲で取り入れるのが良さそうです。
それでも、コートの上で重心の低さを意識するだけで、これほどプレーの手応えが変わるのかと目から鱗が落ちる体験でした。動画で自分の棒立ち姿を見るのは少々ショックでしたが、たまには自分のプレーを客観的に見直してみるのも悪くないなと思った休日でした。
要所だけでも、腰を落とす